人間関係・距離感

ガスライティングとは|意味・特徴・恋愛での使われ方

ガスライティングとは、相手の感じ方や記憶、考えをくり返し否定することで、
「自分の考えは間違っているのかもしれない」と思わせてしまう心理的な操作
のことです。

主に、恋愛や家族、職場などの近い人間関係の中で起こりやすいとされています。

※医学的な診断名ではなく、心理学・社会学で使われる概念です。

概念のポイント

ガスライティングには、次のような特徴があります。

  1. 相手の感情や意見を否定する言葉がくり返される
  2. 「考えすぎ」「気にしすぎ」と片づけられることが多い
  3. 一度だけでなく、何度も続くことが重要なポイント
  4. 言われた側が、自分の判断に自信をなくしていく
  5. 強い怒りや暴力がなくても起こる

現実をねじ曲げるというより、“相手の自信を少しずつ削っていく”行為と理解すると近いです。

よくある誤解

誤解①:ケンカや強い言い方=ガスライティング

→ 意見のぶつかり合いや感情的な言い合いそのものは、ガスライティングではありません。

ポイントは「認知を否定し続けること」です。

誤解②:必ず悪意がある行為

→ そうとは限りません。
本人が無自覚のまま、自分を守るための言動として行っている場合もあります。

類似概念との違い

観点ガスライティングモラルハラスメント
中心となる問題認知・感じ方の否定人格や価値の否定
手法「あなたの感じ方がおかしい」侮辱・見下し・威圧
影響自分の判断に自信がなくなる自尊心が傷つく

※ 両方が重なって起こる場合もありますが、同じものではありません。

恋愛・人間関係での使われ方

恋愛関係では、次のような場面で使われやすい言葉です。

  • 傷ついたと伝えたら「そんなつもりじゃない」と否定される
  • 不安を話すと「大げさ」「重い」と言われる
  • 違和感を覚えても、自分の方が間違っている気がしてくる

こうしたやり取りが続くと、自分の感情を信じられなくなり、虚しさや混乱を感じやすくなります。

注意点

ガスライティングという言葉は便利な一方で、注意も必要です。

  • 相手の意見が違うだけで使ってしまう
  • すべてを「操作された」と決めつけてしまう
  • 本来の話し合いができなくなる

大切なのは、言葉で相手を裁くことではなく、関係性を理解するための視点として使うことです。

関連用語

  • 虚しさ
    理由がはっきりしない心の空白感
  • 支配
    相手の行動や判断をコントロールしようとする関係
  • 迎合
    関係を保つために自分を抑えて相手に合わせること
  • 境界線
    自分と相手の責任や感情を分ける考え方
  • 自己否定感
    自分の価値を低く感じてしまう感覚

まとめ

ガスライティングとは、
相手の感じ方や考えを否定し続けることで、
自分の判断に自信を持てなくさせてしまう心理的な行為
です。

恋愛や近い人間関係の中で起こりやすく、
気づかないうちに虚しさや自己不信につながることもあります。

この言葉は、
誰かを責めるためではなく、
関係性を整理し、理解するための言葉として使うことが大切です。